本日、「租税及び社会保険料による負担の軽減のための飲食料品に係る消費税率の臨時的な引下げ及び
就業者負担軽減支援金の支給に関する法律案」(時限的食料品消費税減税・就業者支援金法案)が、
衆議院本会議で賛成多数で可決されました。いのちの党は、この法案に反対しました。
私たちは、消費税減税そのものに反対しているのではありません。物価高に苦しむ国民の負担を軽くする
ため、消費税の廃止を目指し、当面は全品目一律 5%への恒久減税を行うべきだと訴えてきました。
政府案にも、食料品の税率引下げや事業者向けの特例、地方税収の補塡措置など、負担軽減の要素は含
まれています。しかし、そもそも税率を品目ごとに区切る「軽減税率」という仕組みそのものに大きな欠陥
があります。税は公平・中立・簡素であるべきであり、対象を細かく区切り、複雑な線引きを増やすやり方
はこの原則に反します。さらに、本法案には制度の根本に関わる、看過できない問題があります。
第一の欠陥――2 年後には「戻し増税」、しかも価格は下がらない
第一に、減税の対象が食料品に限られ、しかも 2 年間の時限措置となっていることです。
政府案は 2027 年 4 月から食料品の消費税率を 8%から 1%に引き下げますが、電気・ガス代、日用品
などの税率は 10%のままです。物価高による家計への圧迫は、食料品だけにとどまりません。さらに、
2029 年 4 月には食料品の税率を 8%に戻すこととしており、国民に再び負担増を強いる「戻し増税」
が予定されています。2 年後に物価高が収束している保証は、どこにもありません。
しかも、税率を下げても、店頭価格がその分下がるとは限りません。消費税の負担が最終的に誰に帰着す
るかは、価格に転嫁できるかどうかで決まります。コストの上昇を価格に転嫁できず、税負担を自ら飲み
込んできた中小零細事業者にとって、今まで価格転嫁出来なかった「焼け石」を少し冷やす程度の効果し
かみられません。また、食料品への支出額は高所得者ほど大きいため、減税の恩恵は高所得者に厚く、
低所得者の負担軽減策としては効果が乏しい仕組みでもあります。2 年間で約 10 兆円もの財源を投じな
がら、これだけの欠陥を抱える制度は、費用対効果の面でも疑問です。
第二の欠陥――線引きの混乱と、現場へのしわ寄せ
第二に、中小零細事業者や農業者に新たな負担が生じることです。
食料品の税率を 1%とすれば、持ち帰りと店内飲食との税率差は一層拡大します。飲食店などはレジ、料
金表示、帳簿などの変更を迫られ、2 年後には再び変更しなければなりません。品目の線引きを巡る
混乱とコストは、特に中小零細事業者の経営を圧迫します。また、中小零細事業者やフリーランスを苦しめ
ているインボイス制度は温存され、むしろ複数税率の拡大によって固定化されます。消費税の申告・納税
に伴う負担は解消されません。
農業者への影響も重大です。食料品の税率引下げに伴って農産物の販売価格が下がれば、免税事業者で
ある小規模農家の売上が減少するおそれがあります。一方、肥料や農機具などには 10%の消費税がか
かり続け、免税農家は仕入れ時に負担した消費税の還付を受けられません。政府による農業者への補塡
策も報じられていますが、その内容は十分に確定しておらず、減収を完全に補える保証はありません。
物価高対策のための減税が、地域経済を支える中小零細事業者や農家の経営を圧迫するものであって
はなりません。
第三の欠陥――働けない人を置き去りにする支援金
第三に、就業者負担軽減支援金が、困窮する人々を広く救済する制度になっていないこと、
金額すら決まっていないことです。
就業者負担軽減支援金とは、会社員やパートなど、働いて収入を得る人の税金や社会保険料の負担を軽
くするため、国が現金を支給する制度です。税金や保険料そのものを引き下げるのではなく、前年に働い
て得た収入や税・社会保険料の負担、子どもの人数などに応じて支給額を決める仕組みであり、対象は
就労者に絞られています。しかも、支給対象となる所得の範囲や具体的な支給額など、制度の根幹は今
後定める政令に委ねられています。
働く人の手取りを増やすこと自体は必要です。しかし、病気や障害、家族の介護などで働くことができな
い人や、年金生活者は、支援から取り残されるおそれがあります。障害などで働くことが難しく支援金の
対象にならない人への対策は、「2028 年度中に結論を出し、必要と認める場合に 2029 年度以降実施
する」とされているにすぎません。また、前年の所得を基準にする仕組みでは、失業などによって急に生
活が苦しくなった人への迅速な対応は難しく、収入が増えた結果、支援金が減少する問題も生じます。
働いているかどうかによって生活支援の対象を区別すべきではありません。
必要なのは、誰もが安心して暮らせる普遍的な支援制度です。
以上の理由から、政府提出の「時限的食料品消費税減税・就業者支援金法案」に私たちは反対しました。
私たちの答え――一律 5%への恒久減税、そして消費税廃止へ
いのちの党が求めるのは、消費税の廃止を目指し、当面は全品目一律 5%への恒久減税とインボイス制
度の廃止を実現することです。そして、緊急の物価高対策としては、就労の有無を問わない一律の現金給
付を優先し、並行して消費税の一律減税を進めるべきです。
減税によって生じる地方財源の減収は、国が責任を持って補塡する必要があります。財源については、
経済状況や供給力を踏まえた国債の活用に加え、所得税の累進性強化、法人税の応能負担の徹底などを組み合わせるべきです。
物価高対策に必要なのは、対象を細かく区切り、複雑な制度を増やすことではありません。
暮らしに必要なあらゆる消費の負担を減らし、誰一人取り残さず、地域の商売や農業を守ることです。
いのちの党は、国民生活を守るため、消費税の廃止と公正な税制の実現に向けて、引き続き全力を尽くします。
2026 年 11 月 6 日
いのちの党
